拝啓、カミサマ【短編】
ぶらりは、心臓に疾患を抱えている。
『神様がいるとしたら、何故僕らだけ愛してくれないのか』
ラジオから聞こえて来た、そんな歌詞の歌を聞いた時、ぶらりは「神様に愛されているからといって必ずしも幸せになれるとは限らないのにね」と笑っていた。
愛されるからのプレッシャー。
崇めるから、幸せを享受されないことを疑問視する。
世界中の人から大小様々に期待される重圧。
一人や二人、その重圧をかけない人間がいても良いだろう。
「おいで」
呼ばれるままに、私は彼のベッドに乗り上げる。
「僕は、君を縛っているんだな」
呟くように、真顔で彼は私に確認する。
私はより近くなった彼の膝に、頭を乗せた。
「望んで縛られてるから、それに、私はぶらりを縛ってる」
ぶらりが、私の頬や耳を撫でて、いつもは届かない首筋や鎖骨に触れる。
「手術、するんですよね」
上体だけ起き上がって、華奢な胸板に頭を預けると、人より少し危なっかしい彼の心臓は、変わらず鼓動を続けている。
「死期が延びるか、その場で終わりかだそうだよ」
何を感じている様子もなく、私の髪を梳くように撫でる。
「…無茶を承知で、こぼしても良いですか」
「何かな?」
『神様がいるとしたら、何故僕らだけ愛してくれないのか』
ラジオから聞こえて来た、そんな歌詞の歌を聞いた時、ぶらりは「神様に愛されているからといって必ずしも幸せになれるとは限らないのにね」と笑っていた。
愛されるからのプレッシャー。
崇めるから、幸せを享受されないことを疑問視する。
世界中の人から大小様々に期待される重圧。
一人や二人、その重圧をかけない人間がいても良いだろう。
「おいで」
呼ばれるままに、私は彼のベッドに乗り上げる。
「僕は、君を縛っているんだな」
呟くように、真顔で彼は私に確認する。
私はより近くなった彼の膝に、頭を乗せた。
「望んで縛られてるから、それに、私はぶらりを縛ってる」
ぶらりが、私の頬や耳を撫でて、いつもは届かない首筋や鎖骨に触れる。
「手術、するんですよね」
上体だけ起き上がって、華奢な胸板に頭を預けると、人より少し危なっかしい彼の心臓は、変わらず鼓動を続けている。
「死期が延びるか、その場で終わりかだそうだよ」
何を感じている様子もなく、私の髪を梳くように撫でる。
「…無茶を承知で、こぼしても良いですか」
「何かな?」