好きな人は初恋から君へ


茜色に染まる校舎を
背にして数人の横を通り過ぎた。


こんな事初めてじゃない

「あ、茜ちゃーん♪」


こんな喧嘩日常さはんじだもん


「…はぁ、はぁ」


なのに何で?


「………何かあったの?」



「えっなんで?」



「だって泣きそうな顔してるよ?」



「っ―――ふぇッ」


あんな秋人の冷たい顔始めて見た―…。


冷え切った表情

興味の欠片もない態度

目さえ合わなかった。
体全身から伝わってきた…まるで…



”会いたくなかった”


胸を貫くような痛み。
それでもそれは逆に切ないくらい彼が好きなんだと思い知らされる。



「っふ…ひっく」


口を手で覆い声を抑えようとするたびに涙が溢れ出す。









「我慢しなくていいよ。泣きたければ泣けばいい」





初めて柑橘系以外の香りを感じた。


胸板の広さも
腕の強さも




私が知っているものとは全然違う。

とても優しくて
包み込むようなものだった。





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