好きな人は初恋から君へ


『僕…茜ちゃんならって思ってたんだけどなぁ』

海はボソッと茜に聞こえない程度に言った。








ガタンッ


突然目の前に座っていた茜が勢い良く立ち上がった。


『っ茜ちゃ…』



『あ…き』



えっ



茜は窓の外を見つめ固まったかと思うと一目散に喫茶店を出て行く。



『えっちょっ茜ちゃん?!』






海の声は聞こえていたのかいないのか、茜は止まることなく走っていった。



何だと思い茜が見ていた方を見てみれば――…



『あっくん?』



あっくんが知らない女の子と腕を組んでいた。



『………っ…はは。』



笑えないのに笑える。









ガ―――ンッッ


『………ざけんな。』



海は自分が座っていた席のテーブルを蹴った。


その突然の音に
海を中心とし周りの客は静まり返り、だが海はそのまま会計をすませるとすました顔で喫茶店を後にした。




< 206 / 230 >

この作品をシェア

pagetop