制服のニオイは恋の予感
「顔、洗ってくる!」


私は教室を出た


トイレに向かって走り、顔と唇、口の中を洗う


水の冷たさが体の芯を冷やす


洗面台の前の鏡に映る私


若村君とキス…しちゃったんだ!


大貴のは事故で、そのおかげで…


そう思うようにした私は、スッキリした顔で教室に戻った


「あれ?」


机の上にあった紙がない


「あぁ…勝手に伊藤に渡してきた」


「え?でも…」


「若林、体調悪いみたいでって言ったから…帰るか?」


「うん…ありがと」





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