背中あわせのふたりは


「お前さ、いつまでそうやってうだうだしてんの?
あいつを追いかけて東京まで来たんじゃねぇのかよ。
あとちょっとで卒業だって分かってんの?
俺がすぐ近くにいるのに、なんで何も訊かねぇんだよ」


呆れたような、それでいて怒っているような表情で、友人は卓也を見ている。




──待っててくれたのか。


──俺から彼女のことを訊くまで。




そのときになって、ようやく思い至った。


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