背中あわせのふたりは


目の前で繰り広げられる会話に、卓也はひとりついていけなかった。


と、そのとき肩を叩かれた。


振り返ると、卓也の友人であり彼女の幼なじみがそこにいた。


「なんで、ここが?」


「お前の行きそうなところくらい、分かってるつもりだけど?」


少し息を乱した友人は、彼女と話をしている彼に目をやった。


「あいつの友達から預かったケータイに、電話がかかってきたんだ。
俺が出たから驚いてたけど。
多少日本語は分かるみたいでさ、あいつがいなくなったことも知ってたらしい。
んで、連れてってくれって」


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