背中あわせのふたりは
学校でも家でも、居心地の悪さに慣れることはなかったけれど、彼の隣が自分の居場所だと思えるだけで、綾香は強くなれるような気がした。
──彼に、依存してただけなのにね。
今になってようやく、綾香は震えを隠してそう言えるようになった。
だけれどあの頃からそう自分に言い聞かせても、心の奧では納得しきれずにいた。
だって、…。
──だって?
──だって、何?
──私、何て続けようとした?
.