背中あわせのふたりは


学校でも家でも、居心地の悪さに慣れることはなかったけれど、彼の隣が自分の居場所だと思えるだけで、綾香は強くなれるような気がした。




──彼に、依存してただけなのにね。




今になってようやく、綾香は震えを隠してそう言えるようになった。


だけれどあの頃からそう自分に言い聞かせても、心の奧では納得しきれずにいた。


だって、…。




──だって?


──だって、何?


──私、何て続けようとした?




.
< 130 / 138 >

この作品をシェア

pagetop