背中あわせのふたりは
あまりで酒が強くないのに呑んだことと、十年ぶりに彼女に逢ったことで、精神的にも肉体的にも疲れていたのだろう。
気がついたらソファの上で眠っていた。
目が醒めたときに毛布が掛かっていたのは、きっと彼女がベッドルームへ行って持ってきてくれたのだろう。
静かに起き上がってリビングを見渡すと、見慣れた空間の中に、見慣れない彼女の荷物が置かれていた。
だが、彼女の姿は見当たらない。
うっすら白みはじめた窓の外に彼女を見つけて、卓也は心底ほっとした。
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