背中あわせのふたりは


あの頃の卓也は、そんな彼女に距離を感じて離れたのだ。




──…変わってないな。




ストレートのロングヘアも、少し上がっている目尻も、意志の強そうな瞳も、薄くて柔らかそうな唇も、…強がりなところも。


それが愛しくて、苦しくて、悔しくて、憎くて。


彼女のその人目を引く雰囲気が妬ましくて、周囲の人間は彼女を攻撃しつづけた。


卓也もそのうちのひとりだ。


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