背中あわせのふたりは


後悔という言葉が、卓也の頭の中に浮かんだ。




──そうだよ、後悔してんだよ、俺は。


──彼女の手を離したことも。


──そのあとに彼女が孤独と闘っていたときに、手を差し伸べなかったことにも。




カランと、彼女の呑む梅酒の中で浮かぶ氷が泣いた。


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