背中あわせのふたりは


その感情を認めてしまえば、今の自分を、これまで造ってきた自分を、自身で否定することになる。


そんなこと、できるはずがない。


今まで必死になって築き上げてきたものを、まだ壊したくない。


よくない考えが脳を支配しはじめて、綾香は急いでアルバムを閉じた。


ベッドの端にもたれて、煙草に火をつける。


いつからこんなにも、ヘビースモーカーになったのか。


綾香には思い出せない。


.
< 31 / 138 >

この作品をシェア

pagetop