背中あわせのふたりは

Takuya



期末テストを作成していると、頭上から声がした。


「伊藤先生、今夜時間あります?」


「…今夜はちょっと…。

テスト、作り終えちゃいたいんで」


卓也の返事を聞くと、一瞬、ほんの一瞬、美弥の表情が険しくなったのを、卓也は見逃さなかった。


「最近、付き合い悪いですね、伊藤先生」


怖いくらいの笑顔で、美弥は卓也を見る。


いや、見据える。と言ったほうがいいか。


「…疲れがとれなくて、最近は特に」


相手に気づかれないように、そっと溜め息を吐く。


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