背中あわせのふたりは


冬は、嫌でも想い出す。


どこにいても、何をしていても、冬になると、必ず想い出す。


冷めたコーヒーは、苦味を増している。


その苦味のせいにして、卓也は眉をひそめた。


帰宅して、携帯電話を鞄から出すと、着信があったことを知らせるように、LEDが点滅していた。


着信履歴を呼び出すと、懐かしい名前が表示されている。


高校時代によくつるんでいたその名前は、もちろん彼女のことも知っている。


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