背中あわせのふたりは


「何だよ?」


少しふてくされて尋ねると、相手はさらに笑った。


『いや、お前がセンセーねぇ』


自分でも意外に思っていることをあっさり言われ、卓也も少し笑った。


「俺だって心外だって。
まさか自分が母校で教師なんてさ」


『お前がまた高校に足を踏み入れるとは、俺も思ってなかったよ』


こいつはまた、痛いところを突く、と思った。


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