背中あわせのふたりは
「センセーが俺らぐらいのとき、どんな理想の自分を思ってた?」
──理想の自分、か。
高校を卒業して大学に入ると、理想を追うよりも現実から逃げたくて仕方がなかったような気がする。
だが、彼らと同じ年頃のとき、卓也も彼らと同じように理想を追っていた。
「進路相談室、行くか?」
そう訪ねると、彼はこくりと頷く。
それを見て、自分にもこういう時期があったのだと、思い出す。
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