背中あわせのふたりは


どのくらいぼぅっとしていたのか、梅酒の中の氷は形をなくし、グラスの上の方で、透明な層を作っている。


煙草を吸おうとして、箱を開けたら空だった。


ストックすらなくなっていた。


一目惚れして買ったガラスのテーブルの、上に置かれた灰皿を見ると、吸い殻がこんもりと山になっていた。


今日何回目かの溜め息をついて、シャワーを浴びようと立ち上がる。


煙草の吸いすぎなのか、梅酒の飲みすぎなのか、脚は覚束なく震えた。


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