背中あわせのふたりは




──もう、笑えるわ。


──ほんと、笑うしかない。




苦い笑みを浮かべ、綾香はバスルームへ向かう。


洗面台の鏡に映る自分の顔は、ひどくくたびれていた。


疲れている、ではなく、くだびれている。


目の下には濃い隈ができ、肌も荒れ放題だ。


パチンと両手で頬を叩くと、鏡を見ないようにして、勢いよく服を脱いだ。


熱いシャワーを浴びると、冷えた体の芯まで、一気に温かくなった気がした。


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