背中あわせのふたりは




──これからどうしようかな?


──しばらくバイト暮らしっていうのも悪くないかも、ね。




ビニール傘越しに空を見上げて呟く。


だが、考えたくなかった。


何も、考えたくなかった。


今、実際に起きている現実を受け入れる気には、到底なれない。


あれほどしがみついていた仕事を手放したことも、これからの生活のことも、自分自身のことも。


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