背中あわせのふたりは


マンションに着いて傘を閉じ、バッグの中から鍵を出したところで、後ろから肩を叩かれた。


思わずびくっとして振り返ると、姉が立っていた。


ものすごく真剣な表情をして。


眉根を寄せると、姉は口を開いた。


「昨日、相手の奥さんが、あたしに会いに来た」


と。


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