背中あわせのふたりは


「…何もって?」


心臓の音が、耳のすぐ近くで聞こえる。


「なんでその大学選んだ、とかさ、どんなことがしたいのか、とか」


「お前だったら、すぐに答えられるか?」


同じだ、と思った。


「いや、俺は理由なんてないからムリだけどさ、あいつは何か目標もってるみたいでさ」


あの頃の、自分と。


「でも、俺にはそれ話してくれなくて」


「お前は知りたいのに、教えてくれないってか…」


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