背中あわせのふたりは
「綾香は、大学どこ行くん?」
郷土訛の言葉で、彼が綾香に訊いた。
「東京の大学行く」
ずっと思っていた。
高校に入ったときからずっと、大学は実家を出て、姉のように東京に行く、と。
小さな頃からずっと、温めつづけてきた夢が、あった。
それを叶えたいと、誰にも言わずに思っていた。
「…東京?」
自分の夢を、何も話さなくても、彼が応援してくれると、信じて疑わなかった。
.
メニュー