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背中あわせのふたりは
89ページ
背中あわせのふたりは
十日ほど経った頃、帰りに彼が綾香の教室に迎えに来た。
センター試験を目前に控えていた。
窓の外では、牡丹雪が音もなく積もっていこうとしていた。
自習室へふたりで移動すると、彼は話を切り出した。
綾香は仲直りだと思って、ほっと息を吐いた。
だが、違った。
「東京の大学に行って、どうするん?」
綾香はうまく話すことはできなかった。
ただ、曖昧に笑うしか。
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