背中あわせのふたりは


だけど、今でも思うことがある。




──あの時、あの手を離していなければ、彼女は今でも自分の隣にいてくれたのだろうか。


──彼女は今でも、自分の隣で笑っていてくれたのだろうか。




窓の外に目をやる。


木枯らしが木々を揺らすようになった。


もうすぐ、冬が来る。


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