背中あわせのふたりは


だけれど、時は流れていく。




彼女は周囲に敗北することなく、自身を貫いた。


一年生のクラスが解散しても、彼女はそのスタンスを保ち続けた。


格好いい、と卓也は思っていた。


入学当初クラスでひとり、浮いていた卓也を周囲に引き込んだのは、彼女だった。


その頃の彼女の周りには、常に人がいた。


性別や性格、容姿も関係なく、誰にでも平等に接する彼女を、誰もが羨んでいた。


だから彼女は卓也にも、周囲と同じように接してくれたのだろう。


時を経て、冷静に考えてみなければ気づかないほど、ほんとうにさりげなく、周囲に交えてくれた。


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