背中あわせのふたりは
いつまでも、彼女の隣にいられるのは自分なのだと。
彼女の特別な、たったひとりでいつづけられると。
卓也は信じていた。
左の薬指に光るお揃いの指輪は、一度たりとも外すことはないと、信じていたのに。
まさか、自分の手で壊すことになるなんて思わなかった。
だから、外すときは、勇気と諦めと思い切りが要った。
外してすぐ、卓也はそれをチェーンに通して首にかけた。
そして、もう二度と、そこから離さないと決めた。
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