海が呼ぶから

この海賊団て…

目を醒ますと、ウチはベッドに横たわっていた。

もぞもぞと、起き上がる。

「あ、起きたんだ」

突然かけられた声に、そちらをみる。

ウチより若干年下の男の子が、湯気のたつ、スープ皿を持っていた。


「さっき持ってきたスープは冷めちゃったから」

男の子は、スープ皿を机に置くと、突然手を握ってきた。

ウチは驚いて、声が出ない。

「キミ、大変だったらしいね。何があったかは判らないけど、声、出なくなっちゃったんだろ?」

(あー。そういう設定だった。危なく普通に話す所だった…。)

ウチは、コクリと一つ頷いた。

「そうなんだ。大丈夫さ、ちょっとくらい声が出なくったって、何とかナルなる。」

そっと頭に手を乗せられて撫でられた。

「うちの海賊団に、そんなんで差別するやつ、居ないし」

ニコニコと、笑う顔に、ウチも何か安堵を感じる。

「それにしても、船長(キャプテン)が海に飛び込んで行ったのには、かなり驚いたけど、キミを助けに行ったんだね」

船長、敵以外の怪我とか病気とか、放っておけない性質(タチ)なんだよな…。

敵でも、必要以上に傷つけるの、何だかんだ言って嫌みたいだし。

呟きに驚いて、目を見張る。
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