海が呼ぶから
それって…。

(海賊として、致命的…なんじゃ…。)

ウチの心の声が聞こえたように、男の子は頷いた。

「っそ。だけど医者としてのサガ…ってやつなんたろうね。」
唸りながら更に愚痴は続く。


「だから、しなくて良い怪我とか、無駄にしてさ…。子分としては心配…って、何でこんなにペラペラ喋ってんだろ…ボク。」

ガチャリ。

ノックせずに、ドアを開けて入ってきたのは、噂の船長。

「まったくだ。それに、お前に心配されるとは、俺も落ちぶれたもんだな…」

仏頂面のガルシアは、だけどとこか、微かに…これは、えーと。

(照れてる?)

「顔、赤い」

突然ガルシアの影から、声が聞こえて、驚いた。

(さっきからウチ、驚いてばかりだな…)

ガルシアの影に隠れていたのは、ガルシアより拳一つ分位背の低い、中性的で、線が細めの…多分男の人。

(たしか、この船男しか居ないってガルシアが言ってたし)

でも、女の人って言われても、信じれそうだな…。

じっと見つめていたら、ギロリと迫力ある眼力で睨まれた。

「何?」

「はいはい。知らない人に見つめられたからって、相手を威嚇するなよ。」
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