海が呼ぶから
08.働きモノ

美味しいモノ

腹が減って食堂に行くと、先にメシを食べてたヤツらの会話が耳に飛び込んできた。

「最近、食堂の料理旨くなったよな」

「ああ、あの突然現れたセンチョの恋人…とやらが入ってからだろ?正直、新参者にライフライン任せるのどうよ…て思ったが、今となっちゃ、アリ…だよな」

カイが船に来て、3週間がたっていた。

今の会話を聞く限り、カイの評判は上々のようだ。

「カイ…って言ったっけ?あいつ小さくて可愛いよな。華奢な感じで、喋れないからか、向かい合うとじっと瞳を見つめてくるのも、何かイイよな。」

風向きが怪しくなってきた。俺は慌てて会話に割って入る。

「おいおい、カイが可愛いのは否定しないが、あんまり俺のにちょっかいはかけてくれるなよ?」

「「あ…キャプテン」」

「いやいや、そんな勇気は無いですよ。ただ、可愛いなーって。」

そこまで言って、目の前のヤツは何かに気付いたように、指で示す。

「ほら、あいつみたいな勇気は流石にね…」

示された先を見ると、カイを前に一人ペラペラ喋っているベル…ベルファスがいた。
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