海が呼ぶから
近づく俺に気づいたカイが、小さく俺に向かって会釈する。

それに気づいたベルが、此方に振り向く。

「あ、船長…」

小さく呟くベル。

何となくギクシャクした雰囲気となる。

「ベル、あまりカイの仕事の邪魔をするなよ」

俺の言葉を聞いたカイが、黒目勝ちな瞳を不思議そうに歪め、首を傾げた。

(そんなに邪魔されてない、って事なのか?)

カイの態度からそれを感じとり、俺は早々にベルに謝った。

「あー悪い。俺が邪魔だったみたいだな」

「いや、大丈夫っすけど。船長も飯ですか?」

「ああ。そ…「カイの邪魔でなくても、僕の邪魔にはなるって学習しないベル猿と船長、そこどいて。」」

辛辣な言葉に、ベル猿…もとい、ベルが食らいついた。

「"サル"ってなんだよ!」

「あんたみたいな生き物だ。カイが教えてくれた。」

綺麗な顔に似合わず、桃色の唇からはキツい言葉が生産され続けている。

俺は、背後のゼオに道を譲る。
俺という壁が無くなった二人は、バチバチと音のしそうな視線で睨み合った。

無言でカイが、此方に視線を送ってくるが、俺は巻き込まれるのが嫌で肩をすくめてみせた。
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