それでも君が好き
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「…それでは、ホームルームを終わる。寄り道せず帰るように」
担任の声で、クラスが一気に騒がしくなった。
机やイスががたがたと悲鳴をあげている。
『今日カラオケ行く人ぉ~』
『はぁ──い』
『行く行くーっ』
背後で男女混じりあった、ハイテンションな声。
わたしはスクールバッグに教科書を詰める。
「みーはねちゃんっ♪」
「え…っ」
いきなり声をかけられて振り向くと、そこにはクラスメイトの男の子が居た。
「未羽ちゃんはカラオケ行かないの?」
「あー…わたしはいいや、ごめんね。楽しんできて」
「えー残念! んじゃ、また行けるときは来て! じゃバイバイ」
「バイバイ」
カラオケが嫌いなわけじゃないけど、今日は蒼太と一緒に帰る約束をしていた。