それでも君が好き
顔に押しつけられた白いカッターシャツからは、微かにシャンプーの香りがする。
「な…なっ……!?」
いきなりの出来事に、言葉を見失った。
わたしは自分の手で、首に巻きついた腕をべりっと剥がすようにどけた。
「な…いきなり……何」
わたしは蒼太を睨むようにして見る。
すると蒼太はニカッと笑って見せた。
「はは、まじ面白れーよ未羽!」
色素のうすい髪が、放課後の太陽の光を受けている。
触ればワタアメみたいに溶けてしまいそうで。
綺麗だと、思った。
「どしたの、未羽」
蒼太の不思議そうな声で、わたしは我に返った。