それでも君が好き


「それはわたしがとやかく言う問題じゃないと思うよ…蒼太が決めることだから」


「…そっか」



曖昧に返事をしたあたしに、蒼太は少しだけ口角を上げた。

作り笑いだと、一瞬で分かった。



「未羽はさ、今」


「ん」



再びのんびりを歩きだしたころに、蒼太がぽつりと切り出した。

コンクリートの道に転がっている、小さい石を靴で蹴りながら、蒼太の言葉の続きを待つ。



「今、好きな奴とか居るの」



石は予想外なところへ転がって、溝に落ちた。

トプン、と微かに水と石がぶつかる音がした。

気のせいだったかもしれない。



「え…今……は」


< 22 / 34 >

この作品をシェア

pagetop