それでも君が好き
「それはわたしがとやかく言う問題じゃないと思うよ…蒼太が決めることだから」
「…そっか」
曖昧に返事をしたあたしに、蒼太は少しだけ口角を上げた。
作り笑いだと、一瞬で分かった。
「未羽はさ、今」
「ん」
再びのんびりを歩きだしたころに、蒼太がぽつりと切り出した。
コンクリートの道に転がっている、小さい石を靴で蹴りながら、蒼太の言葉の続きを待つ。
「今、好きな奴とか居るの」
石は予想外なところへ転がって、溝に落ちた。
トプン、と微かに水と石がぶつかる音がした。
気のせいだったかもしれない。
「え…今……は」