それでも君が好き


高瀬くんは心なしか表情をパッと明るくすると、いきなり頭を下げた。


な、何…!?


わたしは驚いて、持っていたメロンパンの袋をコンクリートに落としてしまった。



「好きですっ…俺と付き合ってください!」



広い屋上に、高瀬くんの声が響いた。


わたしは高瀬くんの肩に手を置いた。



「顔、あげて」


「………っ」



そして今度はわたしが頭を下げた。



「ごめんなさい…わたし、今そういうの無いから」



じっと自分の足元を見つめる。


ロングヘアの黒髪が、パラパラと落ちてくる。



< 5 / 34 >

この作品をシェア

pagetop