それでも君が好き
「……バッカじゃないのぉ、未羽っ!!」
数秒の沈黙のあと、凛子がわたしに向かって怒鳴った。
わたしは慌てて凛子の方を振り向く。
「わ…な、なに」
「何じゃないよっ! あれ高瀬くんだよ!? 何で振ってんの!?」
「な、何でって…」
凛子の話によると、高瀬くんはバンドのボーカルをやっていて、すごく女子に人気があるらしい。
性格もいいし、顔もいいし…って凛子は高瀬くんをベタ褒めしてた。
「…何でそんな完璧は人がわたしなんかを好きなんだろう」
メロンパンにかぶりつきながらわたしが言うと、凛子は呆れたようにため息をついた。
「…ほんと未羽って馬鹿だね。未羽、自分がどんだけモテてるか分かってんの!?」
「え…」
「クールだし、正統派なのか知らないけど…寄ってくる男の子全部振っちゃって…あぁ、本当もったいない!!」
なんだかよく分からないけど、凛子は焼きそばパンをばくばく食べながら嘆いていた。