鏡
―君の名は「水花」―
小さい頃、母子家庭だった家は朝、母が保育園に私を送った足で仕事に行き、夕方迎えに来て、また仕事へ……そして、帰って来るのは0:30。
保育園から帰ってから母が帰るまでの数時間と保育園が休みの日は、いつも独りだった。
「つまんない……」
「さみしい……」
絵を描くのが好きだった私は、エンドレスに流れるアニメを聴きながらずっと絵を描き続けた。
「せめて、兄弟が居ればなぁ……」
呟きながら鉛筆を動かす。
「お兄ちゃんが良いな……」
「私小さいから、背が高くてー……」
「優しくてー…友達に自慢出来るくらいカッコ良くてー…」
鉛筆を動かしながら考えていたら、気が付くと想像のお兄ちゃんが紙の中に居た。
「そうだ♪居ないなら作っちゃえば良いんだ♪」
ふと……そんな考えが頭をよぎった。
「ママにも内緒の私だけのお兄ちゃん♪」
絵を眺めて名案を思い付いたかのように笑った。
「普段は、どっか行っててー…私が必要な時だけなんかで呼び出すの♪何が良いかなぁ~」
子供ながらに自分勝手な事を考えながら、部屋を見渡すと、ママのドレッサーの鏡が目に止まった。
「そうだ♪鏡にキスしたらにしよう♪♪」
今思えば、寂しさのあまり何処か壊れていたのかも知れない……。
「私がカズミだから、名前は……ミズカ♪」
この日から、私は独りじゃなくなった。
「よろしくね♪水花♪」
鏡の自分に向かって言うと、頭の中で声がした気がした……
「よろしく♪」
保育園から帰ってから母が帰るまでの数時間と保育園が休みの日は、いつも独りだった。
「つまんない……」
「さみしい……」
絵を描くのが好きだった私は、エンドレスに流れるアニメを聴きながらずっと絵を描き続けた。
「せめて、兄弟が居ればなぁ……」
呟きながら鉛筆を動かす。
「お兄ちゃんが良いな……」
「私小さいから、背が高くてー……」
「優しくてー…友達に自慢出来るくらいカッコ良くてー…」
鉛筆を動かしながら考えていたら、気が付くと想像のお兄ちゃんが紙の中に居た。
「そうだ♪居ないなら作っちゃえば良いんだ♪」
ふと……そんな考えが頭をよぎった。
「ママにも内緒の私だけのお兄ちゃん♪」
絵を眺めて名案を思い付いたかのように笑った。
「普段は、どっか行っててー…私が必要な時だけなんかで呼び出すの♪何が良いかなぁ~」
子供ながらに自分勝手な事を考えながら、部屋を見渡すと、ママのドレッサーの鏡が目に止まった。
「そうだ♪鏡にキスしたらにしよう♪♪」
今思えば、寂しさのあまり何処か壊れていたのかも知れない……。
「私がカズミだから、名前は……ミズカ♪」
この日から、私は独りじゃなくなった。
「よろしくね♪水花♪」
鏡の自分に向かって言うと、頭の中で声がした気がした……
「よろしく♪」