キミの手 キミの体温
服の裾から素肌に触れてくる手。
後一秒でくっつきそうな唇。
“だってあたしは宝珠の傍にずっと居るもん”
俺のボロボロの心に向けられた最高の口説き文句に、全身がドクンと大きく脈打った。
この唇を受け入れれば俺は楽になれるんだろうか。
千愛を求めて足掻く苦しい心が解放されるんだろうか。
白奈の細い腰に触れようとした瞬間、
無理矢理奪った千愛の唇の味を思い出す。
俺の最初のキスはあの時。
千愛が好きで堪らなくてしてしまったあのキスだ。
そしてあの時と同じように、
“ずっと宝珠だけ好きって約束する!”
小指を絡めて笑い合った千愛の顔が頭をよぎっていった。