キミの手 キミの体温
不意に思い出す感覚。
一年前。
千愛を忘れようと言い聞かせる頭に、俺の心は納得しなかった。
もう一度会いたい。
千愛に会って声が聞きたい。
大好きだった笑顔が見たい。
千愛の中にもう俺という存在が必要なくても、それでもこう思っていた。
だから俺は千愛の前に現れたんだ。
どんなに忘れてしまおうって思っても、やっぱり俺は千愛に焦がれ……千愛を求めてしまうから。
千愛を忘れて楽になるなら、俺は千愛を求めて苦しむ方が良い。