キミの手 キミの体温
白奈の体を押し返し、小さく首を振った。
拒む俺を納得出来ないと言った顔で見つめる瞳が大きく揺れる。
「どうして……」
「俺が欲しいのは白奈じゃない」
「でもっ! 宝珠はあの人の気持ちを拒んでたじゃないっ」
千愛の気持ちを受け止めるのが怖い。
千愛には千愛を支える人間が居るから、俺なんて簡単に必要じゃなくなるんじゃないか……。
俺には千愛しか居ないのに。
また千愛が居なくなったりしたら……俺はきっと狂っておかしくなってしまう。
そんな子ども染みた感情で千愛を試してる自分が頭の片隅に巣くってる。
それに、こんなに穢れ切った体の俺に……千愛に愛される資格なんてあるのか。
真実を知ったら千愛はきっと、俺を嫌いになる。
変わってしまった自分が変わらない千愛に失望されるのが、俺は怖くて仕方がなかった。