キミの手 キミの体温
自分を守りたいだけのエゴイストを心配してくれる二人に、黙って逃げてる自分が恥ずかしくなった。
「ごめんね、二人とも……」
「あなたが千愛?」
「えっ?」
二人に歩み寄ろうとした瞬間、わたしを呼んだ声で足を止める。
振り返った先に居たのは、昨日宝珠と一緒に居た綺麗な女の子。
彼女は昨日と同じ睨め付けるような眼差しでわたしを見て、一歩一歩こちらに歩み寄ってくる。
「あなたにお願いがあるの」
彼女の薄紅の唇から淡々とした言葉が零れ出す。
それをただ見つめ返し、受け止めるばかりの泳いだ視線に、
「宝珠と約束して。もう関わらない、忘れるって」
「ちょっと! あなた何言って……」
「待てって水希」
鋭く顰めた視線が重なり、全身がピリッと凍り付いた。