キミの手 キミの体温
「宝珠……」
「…………っ」
うっすらと開いたまぶたの先で、泣きそうな顔で俺を呼ぶ千愛の姿が見えた。
……あぁ、また泣き顔だ。
霞んだ視界に映る千愛の瞳からポロポロと堪え切れずに涙が落ち始めた。
いつもより体温が熱いせいか。
手を伸ばして触れた涙は生暖かくて気持ち良い。
夢か現かわからない目の前の千愛の頬に触れた瞬間、
「宝珠っ……」
掠れた涙声が耳のすぐ傍で響いて、思わず横たえていた体を起こした。