キミの手 キミの体温
「怖かった。……千愛にはもう、俺なんか必要ないんじゃないかって思ったら」
昨日。
わたしを力強く抱きしめる宝珠から吐き出されたのは、か細く弱々しい声だった。
「千愛とした約束は俺の存在理由だったから」
「えっ」
「千愛が俺を好きで居てくれるって言ったから。千愛に会う為に生きてきた」
「……宝珠」
いつだってわたしを疎ましがってた瞳は寂しそうに大きく揺れている。
小さい頃に交わした約束は……宝珠の中で大きな支えになっていたんだ。
おさまったはずの涙がまた、じわっと瞳の奥に振り返してきた。
ずっとわたしとの約束を大切にしてくれていた宝珠の気持ちも。
わたしを想ってくれた周助の気持ちも。
わたしは両方裏切った。