キミの手 キミの体温
どんなに悔やんでも二人を傷付けた事実は消えない。
嗚咽混じりに何度もごめんなさいって繰り返すわたしに、
「キスした?」
「えっ……」
「アイツと付き合ってたとき」
唐突にこう尋ね、頬を伝っていく涙を指先で掬い上げていく宝珠が顔を寄せてくる。
わたしの最初のキスは踊場で宝珠にされたとき。
首を左右に振って否定してみせれば、
「キスして」
「……えっ」
「キスは好きな人としかしたらダメだから。だから俺としかしないって約束」
吐息が掛かるくらい近付いた宝珠の瞳がじっとわたしを見つめていた。