キミの手 キミの体温

「おまえには悪いけど」


「……そのセリフが一番傷付くってわかってて言ってんだろ」


「しぶといライバルは早めに潰すに限るから」


「おまえなぁ……」



気が付けば。

呆れ顔の周助に食えない笑顔を浮かべた宝珠が言い合いを始めてる。



宝珠が自然体で居てくれるのは嬉しい反面。

内容が内容だけに心境は複雑だ……。



「良かったね。舟瀬くんの心の矛先がちゃんと千愛の方に戻って」



じゃれあう二人を一瞥した水希がそっとわたしに耳打ちする。


わたしを見つめる水希の表情は優しい笑顔で。



ホントは宝珠のこと、反対されるかもって心配してたのが一気に吹き飛んだ。