キミの手 キミの体温
こけそうになったわたしを隣に居た宝珠が支えるなり、
「キリの良いとこで戻って来いよ」
屋上の出口に向かってた水希に駆け寄った周助が、振り向いてにっと悪戯っぽく笑った。
周助……。
「……アイツいい奴だな」
「うん……」
「今ならまだ引き返せる」
その声にわたしを支えてくれた宝珠を振り返れば、
「今ならアイツを選べる」
さっきまで周助が居た場所をじっと見つめていた。
……なんでそんなこと言うの。
わたしは宝珠が好きなのに。