キミの手 キミの体温

こけそうになったわたしを隣に居た宝珠が支えるなり、


「キリの良いとこで戻って来いよ」



屋上の出口に向かってた水希に駆け寄った周助が、振り向いてにっと悪戯っぽく笑った。



周助……。



「……アイツいい奴だな」


「うん……」


「今ならまだ引き返せる」



その声にわたしを支えてくれた宝珠を振り返れば、



「今ならアイツを選べる」



さっきまで周助が居た場所をじっと見つめていた。



……なんでそんなこと言うの。


わたしは宝珠が好きなのに。



< 130 / 359 >

この作品をシェア

pagetop