キミの手 キミの体温
見上げていた視線に気付いた宝珠はゆっくりとわたしに視線を合わせ、
「…………」
「…………」
「ごめん、ちょっと不安感じた」
自嘲するみたいに笑ってまた視線を外した。
だから、
「そんな選択肢無いよ。わたしはずっと宝珠の傍に居るんだから」
その手を握って小さく笑いかける。
宝珠が感じた不安なら分けて欲しい。
一緒に持つって決めたんだから。
「千愛。キスしていい?」
どこか心細いような声色にゆっくりと頷いてみせた。
握った宝珠の手がわたしの指先に絡んでそっと引き寄せる。
唇が触れた分だけ宝珠の寂しさが消えるように……。
そう願って。
重なった唇の温もりにありったけの想いを込めていた。