キミの手 キミの体温
side周助
屋上の階段を降りるや否や。
一歩分前を歩いていた水希が立ち止まり、
「……要領悪いね。アンタって」
「……なんだよ」
「別に」
一段上に居た俺を振り返って、そしてすぐに前に視線を戻した。
なんだよホントに……。
俺が要領が悪いのなんて俺自身が一番わかってるし。
「わざわざ自分の傷をえぐりに来なくても良かったのに」
「まぁ、な」
それでも揃って学校に現れたアイツらを見たら何て言うか……。
千愛へのほんの少しの未練と、自分でもよくわからん安堵感が湧いてきた。