キミの手 キミの体温
「他人のせいにしたって自分が虚しいだけだろ」
無意識に零した言葉に驚いた俺と目の前の女の視線が重なる。
これ……誰に向けての言葉なんだろな。
「だったら責任取って」
「はぁ?」
「千愛のせいにしないから……アナタが責任取って」
言葉の意味がわからなくてポカンとする俺を、彼女はただ真剣な表情と微かに揺れる瞳で見つめていた。
「責任って」
「いいからっ……」
徐々に瞳の揺れが大きくなっていく。
必死に泣くのを堪えてる。
そんな顔だ。
「んじゃ……取ります」
決まりの悪い顔でぼそっと呟いたら、泣きそうな顔を一回俯かせた。
納得いかねぇのか?
聞くより先に顔を上げたそいつはほんの少しだけ、小さく笑っていた。