キミの手 キミの体温
心の色
別れの朝。
わたしと宝珠はいつも二人で遊びに来ていた公園に居た。
ひんやりとした朝の空気と静かな空間。
楽しい思い出の詰まった見慣れた風景なのに、怖いって感じたのは子どもだったせいかな。
それでも。
繋いだ宝珠の手のひらの柔らかさと体温の温かさが、わたしに安心をくれたことは今でもはっきりと覚えてる。
「千愛。ずっと待ってるよ、約束」
「うん。千愛もずっと宝珠だけ好きって約束する!」
小指を絡めて笑い合ったあの瞬間。
まるで世界にはわたしと宝珠しか居ないみたい……。
そんな錯覚すら覚えていた。
世界で二人だけしか知らない思い出と約束。
あの日から一度だって、忘れたことなんて無かった……。