キミの手 キミの体温
わたしがそんなことをぼんやり考えてるうちに、
「あと何部ですか?」
「えっと……10部くらい」
コピー機のカバーを戻した彼が操作ボタンを押して、
「あっ!」
さっきまで動かなかったのが嘘みたいに、快調に出来上がったコピー用紙が出てくる。
「ありがとうっ」
彼のネクタイのカラーは一年生の色。
直った喜びで自然と笑みとありがとうが零れ出した。
ペコッとお辞儀して彼にお礼を告げると、
「いえっ」
何でもないように爽やかに笑って、そのまま印刷室から出て行ってしまった。
良かった。
とりあえず人数分はコピー出来た。
親切な一年生クンが来てくれて助かった。
でも、自分の用事は良かったのかな。
修理だけをして出て行ってしまった彼のことを考えながら、わたしは担任の居る職員室へと向かっていった。