キミの手 キミの体温

ゴチャゴチャ考えながら電話口で黙り込んだ俺の耳に、


「だから! 周ちゃんは勉強するあたしを見ててくれればいいのっ」


痺れを切らしたような白奈のケンケンとした声が響いてきた。



なんだそれ。
謎掛けかトンチか……。


とにかくサッパリ白奈の言いたいことの核心が掴めずますます黙り込んでしまう。


……何がしたいんだコイツは。



「だから……あたし」


「うん?」


「一年間だけでも良いから宝珠と同じ高校に通いたいの」



さっきまでの威勢が嘘みたいにとつとつと話す口調に変わる。



なるほどな、舟瀬絡みか。


舟瀬と同じ高校に通いたいって言葉で俺自身ようやっと納得がいった。


わざわざカップケーキなんて賄賂まで用意しやがって……。


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